「友情婚」の成立とリスク

「友情婚」とは

友情婚とは、ゲイ・レズ等のマイノリティの方が、「父母を安心させたい」「子供が欲しい」「家族が欲しい」「老後が心配」「周囲の結婚圧力に対する応対が面倒」等々の理由で、 セクシャルな感情を除いた異性のマイノリティと「友情」で結ばれる結婚です。

最近はインターネットによる友情婚についての掲示板・SNSや、リアルの出会いパーティー・お見合いパーティーでも友情婚をテーマにしたものが行われており、少しづつ認知度も上がっています。

友情婚と偽装結婚

法律上の婚姻は、婚姻の意思があり、戸籍上18歳以上の男性と16歳以上の女性が「婚姻届」に必要事項を記入の上提出すれば成立します。(証人等の署名・捺印は必要)

通常の恋愛結婚も友情結婚も手続き的には何ら変わりなく、紙切れ一枚で成立です。

日本国憲法では、婚姻について以下のように定めています。

日本国憲法第24条第1項

「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」

また、民法では婚姻の無効理由として以下のような条文を定めています。

第742条

婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。

「1.人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。」

 

いわゆる「永住権を取得する為」「新たに借金をする為」等の違法性のある偽装離婚と友情婚の区別が問題になりますが、 友情婚の場合は、違法性のある行為目的ではなく、「両性の合意」「相互の協力により維持」という部分はクリアしています。 民法に定める無効原因でも「婚姻をする意思」というのは、大多数の異性愛者がするものとは実情が異なりますが、それをもって即これに反するはと断定はできません。

しかしながら偽装結婚は刑法(157条)の「公正証書原本不実記載等罪」に該当し、5年以下の懲役または50万円以下の罰金となりますので、「戸籍上だけの結婚で、あとは別居で知らんぷり」というのは避けるべきでしょう。

友情婚と離婚のリスク

友情婚についての正確な統計はありませんが、現在の日本は概ね全婚姻数の3分の1のカップルが離婚すると言われています。 そうなると友情婚もしかり、離婚のリスクも考えておく必要があるでしょう。

「夫(ゲイ)と妻(ビアン)は、お互い別の(本来の)パートナーがいるが、世間体の為パートナーの了解を得て友情婚。  最初はうまくいっていたが、後に夫のパートナーが嫉妬し、夫は妻との別居しパートナーと同居開始、結局は離婚」

「妻(ビアン)は、子供が欲しいので掲示板で知り合った夫(ノンセク)と友情婚。 子供を出産したが、妻は夫ではなく、パートナーと一緒に子育てをする事を希望し、結局は離婚」

「夫(ゲイ)と妻(ビアン)は出会いパーティーで知り合い、お互い結婚適齢期で周囲の結婚圧力が強かったので、半年後には入籍。同居を始めたが夫は家事を全くせず、お金も趣味につぎ込み、文句を言うと暴力を振るうようになり(DV)、結局は離婚」

友情婚も、他の結婚同様に離婚になる事が少なくありません。

お互い合意して協議離婚となれば、これも「婚姻届」と同じように、市区町村役場の窓口で「離婚届」の紙切れを一枚提出する だけなのでいいのですが、一方が離婚を拒否した場合は最悪です。

離婚協議がまとまらない時は、裁判所に訴える事になりますが、いきなり離婚訴訟はできない(調停前置主義)ので、まず離婚調停から始めなければなりません。 一般国民には非公開とはいえ、調停委員や裁判所書記官、裁判官等には、友情婚である旨等を全て話す必要がでてきます。 友情婚はただでさえ秘匿性の高い事なので、第三者の前で内情を話すのはとても苦痛である事は想像に難しくありません

友情婚は、当事者にとって苦渋の決断ではあるものの、一見合理的な方法とも思われますが、離婚時は通常の結婚以上にリスクが高いものである事は認識しておく必要があるでしょう。

aratama