一之瀬文香さんと杉森茜さんの同性婚

女性同士での挙式を発表していたタレント・一ノ瀬文香(34)と女優・杉森茜(28)が19日、東京・新宿区のBATUR TOKYOで人前式および披露宴を行った。終了後に2ショットで結婚会見に出席し、一ノ瀬は「リゾート風な人前式を行いました」と報告。披露宴について杉森が「みんなの拍手と笑顔がうれしかった」と振り返ると、一ノ瀬は「こんなに大きな拍手は聞いたことがない…」と思い出し、瞳を潤ませた。ヤフーニュースより引用

日本でも最近徐々にですが、こういった同性婚のニュースが多くなってきていると思います。

渋谷区が「同性婚証明書」を発行するようになった事など、スピードはゆっくりであるものの確実に日本人の意識にも変化の胎動が見られますね。

少しづつ、少しづつ・・

(平成27年4月19日)

精子提供者である「父親」に養育費賠償命令(米国)

米カンザス州で同性愛の女性カップルに精子を提供した男性が、生まれた子どもの養育費負担を命じられ、州当局と法廷で争っている。

カンザス州トピカに住むウィリアム・マロッタさんは2009年、インターネット上の情報サイト「クレイグリスト」で、精子提供者を募るレズビアンカップルの広告を見かけ、自身の精子3カップ分を無料で提供した。「私は遺伝物質を提供しただけ。それで終わり」(マロッタさん)のはずだった。

女性の1人は妊娠し、女の子を出産。ところがその後、このカップルが関係を解消し、一方の女性が体調を崩して働けなくなったことから州に生活支援を申請した。これを受けて州当局はマロッタさんに、今は3歳になった子どもの養育費として6000ドル(約52万円)の支払いなどを命じたという。

マロッタさんは、精子の提供に当たり、生まれた子どもに対する金銭的責任は負わないとする契約書を交わしたと説明した。しかし州当局からは、医師が介在していないことを理由に、契約は無効だと告げられたという。もし医師が人工授精をしていれば、マロッタさんが単なる精子提供者であって、子どもの母親と交際していなかったことを文書で証明できる。しかしそうでない場合、カンザス州の州法ではマロッタさんが父親とみなされる。
CNNco.jpより引用

アメリカ合衆国カンザス州におけるレズビアンカップルへの精子提供の事例です。

この記事を読む限りでは、カンザス州においては「医師の人工授精」という事を文書で証明できれば、「精子提供者」のそれ以上でもそれ以下でもない存在で済むのですが、それがなければ「父親」としての義務を負う事になるようですね。

カンザス州は同性婚を認めていないので、州当局の判断はそういった背景もある可能性もあるようです。

日本もそうですが、LGBTの先進国でもなかなか画一的な法整備をするのは現状難しいようですね。

(平成26年10月8日)

性別変更を原因としたゴルフクラブ入会拒否は違法判断

性同一性障害で戸籍の性別を男性から女性に変えたことを理由に、会員制ゴルフクラブへの入会を拒否されたとして、静岡県内の会社経営者(59)が、同県西部のクラブと運営会社に計585万円の損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部は8日、クラブと運営会社に110万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

古谷健二郎裁判長は、入会の拒否は「(『法の下の平等』を定めた)憲法14条の趣旨に照らし、社会的に許容しうる限界を超えるものとして違法」と指摘。「原告は人格の根幹部分にかかわる重大な精神的損害を被った」とした。

判決によると、会社経営者は2010年に性別を変更。12年6月、クラブに入会を申し込んだが、性別の変更を理由に拒否された。クラブ側は、入会を認めた場合、浴室などを使う他の女性会員らが不安感を抱き、クラブ運営に支障が生じると主張したが、判決は「危惧するような事態が生じるとは考えがたい」と退けた。
読売新聞より引用

 

司法の世界でも、性同一性障害による性別変更について、どんどん理解が進んできていますね。

裁判の詳しいところまでは分かりませんが、性同一性障害の性別変更については、厳格な要件をクリアして、裁判所に認められての性別変更になりますので、戸籍上の性別変更以外でも社会的な不利益を受ける事はあってはなりません。

これからもこういった訴訟が増える事が考えられますが、少しづつでも日本社会が受容していくといいですね。

(平成26年9月9日)

性同一性障害→「性別違和」へ 

性同一性障害は「性別違和」に、パニック障害は「パニック症」に言い換えを−−。日本精神神経学会は28日、精神疾患の病名に関する新しい指針を発表した。本人や家族の差別感や不快感を減らすとともに、分かりやすい表現を用いて認知度を高めるのが目的だ。学会は今後、医療現場などに新指針による病名を用いるよう呼び掛けていく。

米国の新診断基準「DSM−5」が昨年策定されたのを契機に、関連学会が表現を検討した。主な変更点として、患者や家族に配慮して「障害」を「症」に言い換えた。「障害」の表現が、症状が回復しないとの誤解を与えるためだ。

物事に集中できないなどの症状がある注意欠陥多動性障害(ADHD)は「注意欠如・多動症」に、急に動悸(どうき)などに襲われるパニック障害は「パニック症」、拒食症も「神経性やせ症」、読み書きなどが難しい学習障害は「学習症」に変更した。

身体的な性別と、心理的な性別が一致せず、強い違和感に苦しむ性同一性障害では「障害」との表現に、患者の間で異論が多いことに配慮した。
朝日新聞より引用

日本精神神経学会は、性同一性障害の呼称(病名)について「性別違和」と言い換えをしていくようです。

「障害」を「障がい」と表記を変える動きはありましたが、今回はその表現を抜本的に変える事になりますね。

もちろん言葉を替えただけでは問題の解決にはなりませんが、イメージとしてマイナスの印象があるものを、少しでも変える努力は必要かもしれません。

これを機に数々の精神疾患への理解が深まることを期待したいですね。

(平成26年5月29日)

「友情婚」の成立とリスク

「友情婚」とは

友情婚とは、ゲイ・レズ等のマイノリティの方が、「父母を安心させたい」「子供が欲しい」「家族が欲しい」「老後が心配」「周囲の結婚圧力に対する応対が面倒」等々の理由で、 セクシャルな感情を除いた異性のマイノリティと「友情」で結ばれる結婚です。

最近はインターネットによる友情婚についての掲示板・SNSや、リアルの出会いパーティー・お見合いパーティーでも友情婚をテーマにしたものが行われており、少しづつ認知度も上がっています。

友情婚と偽装結婚

法律上の婚姻は、婚姻の意思があり、戸籍上18歳以上の男性と16歳以上の女性が「婚姻届」に必要事項を記入の上提出すれば成立します。(証人等の署名・捺印は必要)

通常の恋愛結婚も友情結婚も手続き的には何ら変わりなく、紙切れ一枚で成立です。

日本国憲法では、婚姻について以下のように定めています。

日本国憲法第24条第1項

「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」

また、民法では婚姻の無効理由として以下のような条文を定めています。

第742条

婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。

「1.人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。」

 

いわゆる「永住権を取得する為」「新たに借金をする為」等の違法性のある偽装離婚と友情婚の区別が問題になりますが、 友情婚の場合は、違法性のある行為目的ではなく、「両性の合意」「相互の協力により維持」という部分はクリアしています。 民法に定める無効原因でも「婚姻をする意思」というのは、大多数の異性愛者がするものとは実情が異なりますが、それをもって即これに反するはと断定はできません。

しかしながら偽装結婚は刑法(157条)の「公正証書原本不実記載等罪」に該当し、5年以下の懲役または50万円以下の罰金となりますので、「戸籍上だけの結婚で、あとは別居で知らんぷり」というのは避けるべきでしょう。

友情婚と離婚のリスク

友情婚についての正確な統計はありませんが、現在の日本は概ね全婚姻数の3分の1のカップルが離婚すると言われています。 そうなると友情婚もしかり、離婚のリスクも考えておく必要があるでしょう。

「夫(ゲイ)と妻(ビアン)は、お互い別の(本来の)パートナーがいるが、世間体の為パートナーの了解を得て友情婚。  最初はうまくいっていたが、後に夫のパートナーが嫉妬し、夫は妻との別居しパートナーと同居開始、結局は離婚」

「妻(ビアン)は、子供が欲しいので掲示板で知り合った夫(ノンセク)と友情婚。 子供を出産したが、妻は夫ではなく、パートナーと一緒に子育てをする事を希望し、結局は離婚」

「夫(ゲイ)と妻(ビアン)は出会いパーティーで知り合い、お互い結婚適齢期で周囲の結婚圧力が強かったので、半年後には入籍。同居を始めたが夫は家事を全くせず、お金も趣味につぎ込み、文句を言うと暴力を振るうようになり(DV)、結局は離婚」

友情婚も、他の結婚同様に離婚になる事が少なくありません。

お互い合意して協議離婚となれば、これも「婚姻届」と同じように、市区町村役場の窓口で「離婚届」の紙切れを一枚提出する だけなのでいいのですが、一方が離婚を拒否した場合は最悪です。

離婚協議がまとまらない時は、裁判所に訴える事になりますが、いきなり離婚訴訟はできない(調停前置主義)ので、まず離婚調停から始めなければなりません。 一般国民には非公開とはいえ、調停委員や裁判所書記官、裁判官等には、友情婚である旨等を全て話す必要がでてきます。 友情婚はただでさえ秘匿性の高い事なので、第三者の前で内情を話すのはとても苦痛である事は想像に難しくありません

友情婚は、当事者にとって苦渋の決断ではあるものの、一見合理的な方法とも思われますが、離婚時は通常の結婚以上にリスクが高いものである事は認識しておく必要があるでしょう。

性同一性障害による性別変更

性同一性障害については、平成15年に成立した「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」により、性別変更についての門戸が開かれました。

性同一性障害による性別変更をする為の要件は?

戸籍上の男性から女性(MTF)女性から男性(FTM)への性別変更については、以下の5つの要件を満たした場合、家庭裁判所に申し立てをし、家庭裁判所調査官の調査等を経て審判されます。

1.2人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること

2.20歳以上であること

3.現に婚姻をしていないこと

4.現に未成年の子がいないこと

5.生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること

6.他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

 

性別変更後の戸籍はどうなる?

性別変更が認められると、原則新しい戸籍が作られて本人が筆頭者となり、父母との続柄欄が更生(長男→長女等)されます。 但し、従来の戸籍の他の兄弟姉妹の父母との続柄欄の訂正はされません。

性別変更により新しい戸籍が作られると、従来の父母と一緒の戸籍には性同一性障害による性別変更によって本人がこの戸籍から除外された旨が記載されます。従来の戸籍に性同一性障害による性別変更が原因の除外である旨を記載させたくない場合は、性別変更をする前にあらかじめ「分籍」(親の戸籍から離れて、本人単独の戸籍にする)しておけば、従来の戸籍には、その除外原因は記載されません。

また、性別変更により名前の変更を希望する場合も多いと思いますが、名前の変更は別途「名の変更の申立」が必要になりますので、注意が必要です。

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名前の「読み方変更」と「漢字変更」

性同一性障害の方で、性別変更の前でもまず「名前」(名字除く)を変えたい人も少なくないと思います。いわゆる名前の変更に関しては「読み方」(住民票)と「漢字」(戸籍)に分けられ、それぞれ変更方法が異なります。

名前の「読み方」の変更

実は名前の「読み方」については、実は住民基本台帳法上に規定がありません。もちろん実際は「出生届」には読み方を記入する欄があり、自治体でも名前の「読み方」を含めて住民登録をしているでしょう。

しかしながら、名前の「読み方」については、法律上要求されている記載事項ではありませんので、ほとんどの自治体では「届出」をするだけで変更ができるようです。

たとえばMTFの方の名前が「光一(こういち)」であり、性別変更後は「一」を取って「光」一文字にする予定の時は、取りあえず読み方の変更として「光一」と書いて(ひかり)や(ひかる)でも全く問題ありません。FTMの方の名前が「優子(ゆうこ)」の場合、性別変更後は「子」を取って「優」一文字にする予定の時も、漢字で「優子」と書いて(まさる)と読んだり、(すぐる)や(ゆたか)でも構いません。

もちろん読み方が変われば、銀行口座やクレジットカード、健康保険証等名前の読み方も含めて登録されているようなものの変更手続きが必要になってきますので、注意が必要です。

名前の「漢字」の変更(名の変更許可申立て)

名前の「読み方」の変更に比べて、「漢字」の変更には厳格な手続きが必要となっています(本来の意味での「名前の変更」(戸籍上の名前の変更)はこの「名の変更許可」です)。まず、変更には「正当な理由」がある事が要件であり、「家庭裁判所の許可」が必要となります。

裁判所では名前の変更についての理由に、以下の条項を挙げています。

1. 奇妙な名前である。
2. むずかしくて正確に読まれない。
3. 同姓同名者がいて不便である。
4. 異性とまぎらわしい。
5. 外国人とまぎらわしい。
6. 平成 年 月に神官・僧侶となった(やめた)。
7. 通称として永年使用した。
8.その他

性同一性障害の場合は、1~7番には該当しないので、「8番その他(性同一性障害の為)」となります。そして名前の変更が必要な事情について、具体的に申立書に記載していきます。(「名の変更許可申立書」は裁判所のホームページよりダウンロードができます)

「性同一性障害の診断を受けている」「「診断と治療のガイドライン」(日本精神神経学会)に沿ってホルモン療法等を受けている」「通称名を利用している(その期間)」「戸籍の名前は男性(女性)である事を示唆するものである」「現在は周りの同意を得て希望する性別で生活(仕事・通学)している」「容姿と戸籍名のギャップにより精神的苦痛を受けている」「家族等も了解しており性別変更をしても混乱が起きる事はない」等々名前の変更が必要な事情を申立書に記載、及び証拠となる書類を添付して裁判所に提出します。

名前の変更の許可・許可については、条項に当てはまれば必ず許可されるものではなく、個々の裁判官の裁量にかかっています。裁判官(裁判所調査官等)との面談は、一種の「プレゼン」だと思い、申立書・証拠となる添付書類などしっかり準備する事が大切です。

裁判所での面談を経て申立てが認められると、晴れて戸籍上の「名前の変更」をする事ができます。その許可書(審判書)を市区町村役場に提出し、数日で戸籍上の名前が変更され、その名前で住民票を取得する事もできるようになります。その後、年金・保険・銀行等の変更手続きをする流れになります。

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性同一性障害(MTF)も特別養子縁組で「母親」に

性別変更後、特別養子縁組で「母親」になる!

性同一性障害で男性から性別変更した大阪府の30代女性が結婚後、里親の「母親」として児童養護施設から引き取った男児(3)との特別養子縁組を申し立て、大阪家裁に認められたことが2日、女性への取材で分かった。GID(性同一性障害)学会は、女性に性別変更した人が、特別養子縁組で法的に母親と認められるのは「聞いたことがない」としており、国内初とみられる。

性同一性障害のある人の特別養子縁組については「健全な親子関係が営めるか疑問」などとして、縁組の前段階となる里親申請の時点で難色を示されることもある。GID学会理事長の中塚幹也岡山大教授(産婦人科)は「子供をほしいと思う性同一性障害の当事者にとって新たな選択肢になる。性や家族の多様性を考える上でも大きな動きだ」と話した。
引用産経ニュース2014.4.3

性同一性障害(MTF)の方で、性別変更後「母親」になりたい人も多いと思います。生物的に出産するして親子関係を作る事は無理ですが、養親となり養子を取る「養子縁組」を結んで法律的(戸籍上)親子関係を結ぶ事は可能です。

上記のとおり、大阪家庭裁判所にて性別変更して女性になった方について、特別養子縁組が認められ法律的に戸籍上「母」となりました。法的には可能でも、実務上養親と養子のマッチングについて、性同一性障害のある人が不利な状況が続いているようでしたが、今回はその問題がクリアされ、家庭裁判所も将来的な子供の健全育成を含め認めた形になります。

「普通養子」と「特別養子」の違い

今回のニュースは、「特別養子縁組」の成立なので、法的に「」となりました。「普通養子縁組」では法的には「養母」となります。特別養子縁組は普通養子縁組と比べて厳格な要件(①養子になる子は6歳未満(6歳未満から監護されていた場合は8歳未満)、養親は成人であり夫婦の一方は25歳以上②養子と養親は夫婦共同縁組をする③養子の実親の同意が必要等)があり、最終的に家庭裁判所での審判が必要になります。(普通養子縁組の場合、その条件を満たすと原則「届出」だけで養子縁組が結ぶ事ができます)

普通養子縁組の場合だと、実親との関係(扶養・相続関係)が続きますが、特別養子縁組の場合は、実親との法的関係は切断されます。離縁する時も、普通養子縁組の場合は協議のみで可能ですが、特別養子縁組の場合は、特別な事情がある場合のみ家庭裁判所が判断する事ができます。

戸籍関係では、普通養子縁組の場合は、子の父母欄にはあくまで実親の名前が記載され、養父母の欄が加わる形になります。特別養子縁組の場合は、父母欄に実父母の名前の記載はされず、養父母の名前が記載されます。(子の戸籍欄には、特別養子縁組の条文である「民法817条の2」との記載は入りますが、「特別養子縁組」との文言は入りません。又、実親の戸籍から養親の戸籍に移る間に実親の本籍地にて養子単独の戸籍が作られ、特別養子縁組のプライバシー保護の配慮がされています)

他先進国と比べて、日本はなかなか養子縁組の制度が活用されていません。その一方で、少子化といわれながらも、日本では毎年30万件前後の人口妊娠中絶が行われています。今回の大阪地裁の審判を含め、「子供の幸せ」の為、もっと社会的に特別養子縁組制度が浸透・活用されるといいですね。

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性同一性障害(FTM)も性別変更で「父」となる

性同一性障害の方でも性別変更後婚姻をし、特別養子縁組をすれば、法的に(戸籍上)「父母」になれます(「性別変更後特別養子縁組」)。その他に、性同一性障害(FTM)で性別変更して男性になり、一般女性と結婚、第三者の精子提供により出産した場合、民法の嫡出推定によりそのまま性別変更した男性が「父」とする最高裁判決があります。

性同一性障害のため女性から性別を変更した兵庫県宍粟市の男性(31)と妻(31)が、第三者の精子提供による人工授精で妻が産んだ長男(4)の戸籍上の父親を男性と認めるよう求めた家事審判で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は10日付で、申し立てを却下した一、二審の判断を覆し、父親と認める決定をした。「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」とした民法の規定(嫡出推定)が適用されると判断した。
性同一性障害のため性別変更した男性と妻の子の戸籍に、男性を父親として記載することを認めたのは初めて。裁判官5人中3人の多数意見で、大谷裁判長と岡部喜代子裁判官は、嫡出推定されないとする反対意見を述べた。
引用:時事ドッコム2013/12/11

母子関係は事実上分娩(=出産)によって発生しますが、「父」については異なります。
民法について以下の条文があります。

<民法772条>
1.妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2.婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

つまり最高裁は民法772条の1「結婚後に妊娠した子は、夫の子と推定する」という条文を適用し、第三者からの精子提供であっても、この推定規定が働き、夫を「父」と認定しました。

最高裁判事でも賛成3反対2という微妙な判決でしたが、これで戸籍上の「父」と認められる事になりました。

 

同性カップルの相続問題

a1380_001430日本の法律では法定相続人として、戸籍上の配偶者・直系卑属(子・孫・ひ孫等)・直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母等)および兄弟姉妹等と定められています。

配偶者は最優先で、その他の相続順位は、第一順位が子供や孫などの直系卑属、子供や孫がいなければ第二順位である父母等の直系尊属属、それもなければ第三順位の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に他界していれば甥や姪)が法定相続人となります。

遺産分割の内容は別として、法定相続権は上記のように「戸籍上」の親族関係によって決まってしまいますので、ゲイ・レズビアンなどの同性カップルの場合、遺言書等を作成しなければパートナーに遺産を残すことができません。

「もう親とは数十年会っていない」「親族とは絶縁した」といっても、相続関係には影響がなく、法定相続人に相続権が存在します。自分の死後も安心して暮らせるよう、パートナーに財産を残す為には遺言書等を作成してあらかじめ準備する必要があるのです。

(※親兄弟等法定相続人が存在しない場合、原則相続財産は国(国庫)に帰属します。ただし、裁判所に申し立てをして「特別縁故者」(①本人と生計を同じくしていた者②本人の療養看護に務めていた者③その他本人と特別な縁故があった者)と認められた場合、同性パートナーも財産を相続できる可能性はあります。またその制度の本旨ではありませんが、パートナーと「養子縁組」する方法もあります)

パートナーへの遺言書作成

パートナーの養子(養親)になる選択

パートナーへの生前贈与

パートナーとの死因贈与契約

相続と生命保険の活用

パートナーへの遺言書作成

パートナーへの遺言書作成について検討してみましょう。

1.法定相続人がいる場合

戸籍上の配偶者・子等(直系卑属)がいないとすれば、父母等(直系尊属)あるいは兄弟姉妹が法定相続人になります。(順位は父母等が優先)

ここでポイントが1つあります。

・父母等(直系尊属)は遺留分がある。

・兄弟姉妹は遺留分がない。

遺留分(いりゅうぶん)とは、「残された家族に対する最低限の保障」とも呼ばれ、相続人が父母等(直系尊属)のみだった場合、たとえ本人が全財産をパートナーに相続(遺贈)させると遺言しても、父母等(直系尊属)は相続財産の3分の1は請求する事ができます。(遺留分を請求する事を遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)と言いますが、あくまでこれは「権利」であり請求しなければ、相続等を知ったときから1年、相続開始から10年で時効消滅します)

寿命から言えば、父母等(直系尊属)の方が先に他界する可能性は高いのですが、全財産をパートナーに相続(遺贈)させる場合は、注意する必要があります。

兄弟姉妹の場合は、遺留分がありませんので、遺言書にてパートナーに全財産相続(遺贈)する旨を記載すれば、遺言内容を実現できます。

2.法定相続人がいない場合

法定相続人がいない場合、原則相続財産は国(国庫)に帰属します。しかし、遺言書を作成する事によってパートナーに全財産を相続(遺贈)する事ができます。

遺言書が無い場合でも、家庭裁判所に申し立てをして「特別縁故者」としてパートナーが相続財産を取得する可能性もありますが、手続きが煩雑な上、1年以上も時間がかかり、相続財産を全て又は一部でも取得する事が保障されている訳ではありませんので、パートナーへの最後の愛情としてでも遺言書を作成しておく事をおすすめします。

 

 

 

シングルゲイ(レズ)の相続

「おひとりさまの老後」(著・上野千鶴子)という本がベストセラーになり、生涯未婚あるいは離婚・死別等で、平均寿命の延びと共に「独り身の老後」の生き方がクローズアップされてきました。

同性愛者においても、同性カップルにおけるパートナーの死後はもちろんの事、特定のパートナーとカップルにはならず、シングルゲイ・レズビアンとして生きていく事を決めた場合にも、「独り身の老後」を考えていく必要があります。

シングルゲイ(レズ)の相続とは?

シングルの場合の相続は、未だ法的に婚姻が認められていない同性カップルと同じく、遺言書が無ければ自分が死んだときに父母が存命であれば父母、既に他界している場合は兄弟姉妹に相続権があります。

年齢順で言えば父母が先に他界すると考えられますので、遺言書などが無ければ、兄弟姉妹がいれば兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に他界して甥姪(おい・めい)がいる場合は、甥姪)に相続権が発生し、兄弟姉妹がいなければ相続財産は原則国庫に納入される事になります。

自分の財産の行く先を決めるには「遺言書」の作成が必須

シングルゲイ(レズ)の場合、法的な配偶者及びパートナー、子供がいない為、相続財産が分けやすい現金等のみで特別な事情が無い時は、比較的相続で争いになる要素は低いのですが、「自分の財産の行き先は自分で決めたい」という方にとっては、遺言書の作成が必須となります。

遺言書の作成で必ず注意しておかなければならないのが「遺留分(いりゅうぶん)」についてです。

「遺留分」とは、遺言者が法定相続人以外の第三者に相続財産すべてを相続(遺贈)させると定めても、一定の割合において、法定相続人にその相続財産を確保する(請求する)事を認める制度です。

例えば「愛人に全ての財産を相続させる」「宗教団体に全ての財産を寄付する」と遺言書に書いてあっても、遺留分権利者は、一定の割合の相続財産は請求する事ができます。

遺留分について、父母については「相続財産の3分の1」の遺留分が認められていますが、兄弟姉妹には遺留分が認められておりません

1.兄弟姉妹がいる場合の遺言

シングルについては、父母が相続権の最優先順位者ですので、遺言書を作成する時点にて存命であるか、無いかで前提条件が違いますので書き方が変わってきます。

ただ、父母の存命を前提に遺言書を作成し、「もし先に父母が他界した場合~」と「予備的遺言」として記載する事もできます。

父母が先に他界している場合は、法定相続人は兄弟姉妹で、相続財産をその人数で割った分が、「法定相続分」となりますが、遺言書を作成すれば、全く自由な相続財産の行方を指定する事ができます。

相続財産の一部は、法定相続人である兄弟姉妹に相続させるが、その他は、法定相続人ではない叔父や叔母、身の回りのお世話になった人、寄付をしたい慈善団体等に相続(遺贈)させる事もできます。

もちろん、相続財産の全額を兄弟姉妹以外に相続(遺贈)させても、兄弟姉妹には遺留分がないので、その相続財産を請求される事はありません。

2.兄弟姉妹がいない場合の遺言

父母は既に他界し、兄弟姉妹もいない場合は、遺言書が無ければ、全ての相続財産は原則国庫に帰属されます。

「相続財産は国に全部くれてやる!!」という人でればいいのですが、遺言書を作成する事によって、あなたの希望する人・団体に、財産を渡すことが出来ます。

せっかく自分で築き上げた財産です。遺言書を作成して、お世話になった人や自分の興味・関心のある事に取り組んでいる団体に財産を残すことも、とても意義のある行動ではないでしょうか。

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遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言)

実務上よく使われている遺言書の種類には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」があります。(その他「秘密証書遺言」や特別方式の遺言がありますが、実務上主に活用されているのはこの2つの遺言方式です)

1.「自筆証書遺言」について

その他の通り、遺言書全体をすべて本人の「自筆」で書く必要があります。自筆の本文の他に、作成年月日・署名・押印が絶対的な要素になります。

◎自筆証書遺言のメリット→紙とペンがあればすぐ作成できる。費用がかからない。内容を秘密にできる。

×自筆証書遺言のデメリット→書き方に誤りがあると無効になる。保存場所の問題。検認が必要。(※検認とは・・遺言書を家庭裁判所に提出して証拠保全する手続き)

2.「公正証書遺言」について

事前に遺言書案を作成して公証役場の公証人と打ち合わせをし、後日に本人・証人2人・公証人が立会い、公証人が遺言内容を読み上げ、遺言内容に間違いがなければ、本人・証人2人そして公証人が署名して「公正証書遺言(書)」が作成されます。

「公正証書遺言」は原本・正本・謄本が作成されますが、原本が公証役場に保存されますので、遺言書の改ざんや紛失のリスクを回避する事ができます。公証役場の公証人は、元裁判官・検察官・弁護士などが法務大臣より任命された法律実務のプロになりますので、遺言内容の有効性も担保されます。

◎公正証書遺言のメリット→確実に法的有効な遺言書が作成できる。検認が不要なので家庭裁判所への申し立ての手間が省ける。

×公正証書遺言のデメリット→相続財産額等に応じて手数料がかかる。内容が公証人・証人に知られる。

 

実務上の多くは、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」が使われていますが「自分の意志の確実な実現」「残された者の負担軽減」を考えると「公正証書遺言」を利用する事を優先的に検討してみるのが良いと思われます。

パートナーから見た「公正証書遺言」

上記の通り「自筆証書遺言」「公正証書遺言」のメリット・デメリットを挙げましたが、残されたパートナー(及び相続人)の視点からみると、圧倒的に「公正証書遺言」にメリットがあります

偽造・変造等の疑う余地がない→公正証書は、本人・証人(2名)・公証人立会のもと、公証役場の公証人が本人の意思及び内容を確認して作成され、その原本は公証役場に保管されます。遺言の内容(相続財産の分け方等)について、本人の親族である相続人とパートナーで対立するような場面で、自筆証書遺言だと「本当に本人の意思で書いたのか」「偽造(変造)されたのではないか」という疑いをかけられる可能性もありますが、公正証書遺言であれば、そういった疑いを法的に防ぐことができます。遺言書紛失という最悪の場合でも、公正証書遺言であれば、公証役場にて再交付してもらう事ができます。

検認の手続きが不要→自筆証書遺言の場合、本人の死後遅滞なく家庭裁判所に「検認の申立て」が必要です。申立てのには、本人の生まれてから死亡するまでのすべての戸籍書類と相続人全員の戸籍書類等を揃えて添付する必要があります。また、遺言書が封筒に入り封印されている場合は、家庭裁判所にて、相続人立会いのもと開封をする事になります。検認申立てから検認終了までの期間が通常でも1~2か月程度は必要になりますので、それまでは預金の引き出しの行為が一切できないという事になります。検認手続きは、パートナー・相続人にとって非常に「手間」と「時間」がかかる作業といえるでしょう。(※検認とは、その遺言書の存在を相続人に知らせると共に、遺言書の形状・内容等について検認日においてどういった状態であるか確認し保全する手続きになりますので、遺言書の有効・無効を判断するものではありません。)

遺言書を作成される方は、「自分の死後」という全く自分では感知する事の出来ない将来についても思いを馳せ、争いが起きること防ごうとする「責任感」の強い方が多いと思われます。遺言書を作成する事により、自分の相続財産の行方について意思表示することはできますが、公正証書遺言にすれば、それがより確実になり、更にそれを実行する残されたパートナーのその後の負担・リスクも削減する事ができます。是非、パートナーの為にも「公正証書遺言」をご検討下さい。

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遺言書の種類(秘密証書遺言)

C789_enpitutonote500秘密証書遺言は、自筆証書遺言のメリットである「内容の秘密」と、公正証書遺言のメリットである「存在の証明(偽造ではない)」の両方を実現できる遺言方式です。

遺言書そのものは本人が自筆する事が望ましいですが、署名・押印があれば本文はパソコンで入力作成したり代筆してもらう事も可能です。遺言書が作成できたら、その遺言書を封筒に入れて、遺言書に押した印鑑を使って封印します。(代筆さえしなければ内容を知るのは自分だけになりますね)

封印された遺言書を持って、今度は公証役場にて手続きをします。

公証人と証人2人以上の前に、この封印された遺言書を出し「目の前の遺言書が自分の遺言書である事及びこの遺言書を書いた人の氏名及び住所」を言います(申述)。

申述が終わると、公証人がその遺言書の入った封筒に「提出があった日付及び申述があった旨」を記載し、本人及び証人と共に署名・押印をします。

これにて「秘密証書遺言」は完成です。

しかしながら、公正証書遺言のように公証役場にて保管される事はありませんので、遺言書は自分で保管する事になり、紛失・隠匿のリスクは免れません。自分の死後も、相続人が再度家庭裁判所にて開封をして検認の手続きが必要となります。(内容が本人以外わかりませんので、パートナーに相続財産を全額遺贈しようとしても、戸籍上の法定相続人が検認の手続きをする必要があります)

大前提として、遺言書の内容が本当に法的に成立しているかの確認も必要になります。(自筆証書遺言と同じですね)

以上の事から特に理由が無い場合、実務上はあまり使われない遺言方式となっています。

 

 

準婚姻契約証書とは?

a1380_001631 最近事実婚カップル・同性カップルの間で「準婚姻契約証書」(「準婚姻生活契約書」「パートナー契約書」などとも呼ばれます)を作成する事例が増えています。

異性間の事実婚では「内縁事実の証明」の一つとして活用され、同性カップルの場合は、現実的には結婚状態・内縁状態であっても、法的にはまだ認められていないので、あくまで私人間の契約事ではあるのですが、「結婚に準じた状態である」事を互いに確認する為、対外的に証明する為に、この「準婚姻契約証書」は活用できます。

通常の婚姻関係ついて民法で定めているような「同居の義務」や「貞操の義務」「財産の共有」はもちちろん、もっと細かな具体的なこと、「生活費はどうすうか」「家賃はどうするか」「療養看護はどうするか」「万が一準結婚を解消する時はどうするか」などを定める事もできます。

特に様式は無いので、自由に作成はできますが、公証役場で公正証書にする事もできます。定めた条項について全て法的効果があるわけではありませんが、「なんとなくのパートナーとの結婚状態」から、現実には「結婚状態である」事の宣誓・お互いの約束をする、という気持ちで作成するのがよいでしょう。

 

ペットと相続

a1180_013240現在「ペットと相続」は大きな問題となっている事のひとつです。

年々減ってきているとは言え、保健所や動物愛護センターに引き取られた犬や猫はH23年のデータで約17万匹超が殺処分されています。

飼い主が先に亡くなり、新たな飼い主が見つからなかった犬や猫もその一部になっています。

つまり、ペットの飼い主は、「もし自分が先に死んだらペットはどうなるか」をあらかじめ考えておく必要があるのです。

遺言書を作成して「ペット条項」を入れる

同性カップルで2人とも犬(猫)好きで飼っているなら、どちらかが他界した後も、残ったパートナーがとりあえず飼うことができます。しかし残ったパートナーよりもペットが長生きしたら・・

ペットの方が長生きする可能性があるならば、遺言書を作成して、その遺言書に「ペットの条項」を設けるとよいでしょう。この場合は「〇〇(ペット)を終生飼育する事を条件として、金〇〇を遺贈する」というような、「負担付遺贈」を定める事が一般的です。

 

 

 

 

 

 

パートナーの養子(養親)になる選択

同性カップルの場合、パートナーに相続財産を残すには、遺言書を作成するのが一般的ですが、パートナーと「養子縁組」するという選択も法的には可能です。(「養子縁組」には原則6歳未満の子供と養父母が利用できる「特別養子縁組」と、その他「普通養子縁組」がありますが、本文では以下「普通養子縁組」を「養子縁組」として記載します

「養子縁組」は年齢の上の人が養親、下の人が養子となり、裁判所等への申し立ては不要で市区町村へ届け出をするだけで成立します。養親が現在戸籍の筆頭者である等以外の場合、新しい戸籍が編成され養親が筆頭者になり養子もその戸籍に入ります。苗字は養親の苗字となります。

この「養子縁組」を結ぶと、法的な「親子」となり、お互いの相続関係・扶養関係等が発生し、法定相続人にもなれます。ただ、養子縁組をしても実父母との親子関係・親族関係が終了するわけではありませんので、注意が必要です。

 メリットとしては、遺言書が無くても一定の相続権が発生する事や、法的な「家族」として入院・手術等があった時に親族として「同意」をする事ができたり、住宅ローンなどを共有名義で組める等が挙げられます。

デメリットとしては、養子縁組をすれば、実父母等の相続関係にも影響を及ぼすので事前の理解が必要な事や、現状の法律では一度養子縁組をすると離縁した後は同一人間で結婚ができない事(同性婚が認められた場合は、何らかの対応があると思われますが・・)、同性カップル同士では同性婚としての意味合いが強いが、法的には「親子」なので、本来の婚姻関係で認められる貞操義務(浮気をしない)等は無い事、養子の苗字が変わる等が挙げられます。

 

 

遺言書と法的効果

a0002_011007遺言書を作成したからと言って、全て法的効果を発生するわけではありません。「自分の葬式は〇〇で行って、〇〇に散骨してほしい」と書いても、相続人を法的に相続人を拘束しません(葬式の内容等の希望は、「付言事項」として書くか、「死後事務委任契約」を作成する方法があります)。遺言書に書いて法的効果を発生するものには、下記のような事項があります。

<遺言書の法的効果>

①相続分の指定

相続財産について、一応「法定相続分」というものが規定されています。しかしながら遺言書の作成によって、法定相続分とは異なった配分をする事ができます。

②遺産分割方法の指定

「○○銀行普通預金〇〇円をAに不動産〇〇をBに相続させる」等、相続財産の分割方法を具体的に指定します。

③遺贈

相続財産を無償で譲る事です。法定相続人には通常「相続させる」という文言を使いますが、パートナー等戸籍上法定相続人でない人には「遺贈させる」という文言になります。不動産登記手続きの際には、「相続」より「遺贈」の方が登録免許税が高くなります。

④祭祀承継者の指定

位牌や仏壇・墓地・墓石などの祭祀財産の承継、一般に葬儀・法要を行う者も祭祀承継者となります。自分の死後の弔い等をパートナーに行ってほしい時は、祭祀承継者に指名しておきましょう。

⑤推定相続人の廃除

推定相続人が自分に対し、虐待・重大な侮辱・その他著しい非行があった場合、その相続権を剥奪する事ができます。生前でもできますが、遺言でも可能です。但し、どちらも家庭裁判所での審判が必要になります。

⑥遺言執行者の指定

自分の死後、遺言の内容を現実的に執行する人をあらかじめ遺言で定める事ができます。⑥の廃除をする場合は、遺言執行者が必要です。

その他、生命保険受取人の指定・変更、信託の設定認知、財団法人の設立、未成年後見人・後見監督人の指定、特別受益の持戻し免除などが遺言書で定める事によって、法的な効果を発生します。

「遺言書」と「遺書」の違い

a0055_000845遺言書を書くのは縁起が悪いようで・・」

遺言書を書く事に躊躇する理由としてよく耳にする意見です。

しかしながら「遺言書」と「遺書」の違いを理解してますでしょうか?

あまり聞きたくない自殺のニュースですが、自殺あるいは自殺の疑いあるニュースや記事には必ずと言っていいほど「遺書があった」あるいは「遺書はみあたらない」とが付け加えられています。

遺書は、自殺する人や死期がせまった人が、自分の思いや感情を書きとめる最後のメッセージであり、様式内容も自由で、そこに自分の相続財産等の話はでききません。

報道機関はその違いを認識していますので、必ず「遺書」と表現し、「遺言書」とは表現しません。

遺言書その様式が決められており、それに反するものは原則「無効」とします。

遺言書自分の死後、相続人に対して主に自分の相続財産についての意思表示をしておく書類にすぎないのです。生命保険を契約して、生命保険金の受取人を誰々に指定しておく事と共通している部分があると言えるでしょう。

遺書」はたしかに縁起の悪い部分が大きいかもしれませんが、「遺言書」は生命保険と同じような「責任のある人」が自分の死後を見据えて、相続争い等のトラブルにならないようにする意思表示に過ぎないのです。

 

遺留分(いりゅうぶん)について

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遺留分とは?

相続問題で、必ずといっていいほど話題になるのが「遺留分(いりゅうぶん)」についてです。

遺留分とは、一定の相続人の為に、最低限の相続財産を保証する制度です。

例えば、夫が「愛人Aに全財産を相続(遺贈)させる」という遺言書を残して死んでも、妻は最大2分の1の相続財産を請求する事ができます。(左記の場合「2分の1」が遺留分になります)

保証されている遺留分は、相続財産の2分の1(法定相続人が父母だけ場合のみ、相続財産の3分の1)となっています。そして、兄弟姉妹には遺留分はありません

ただし、遺留分はあくまで「権利」なので、請求しなければ時効成立で消滅する事になります。

遺留分を請求する事を、「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」と言いますが、ポイントはとして下記の3点があります。

①遺留分減殺請求は「内容証明郵便」で行う(請求した事の証拠を残す為)
②相続開始及び減殺すべき贈与・遺贈があった事を知ってから1年以内に行う(「知ってから」1年で時効消滅。又相続開始から10年でも時効消滅)
③相手が応じない時は、家庭裁判所にて調停の申し立てを行う

 

自分の遺言書作成時に、遺留分を意識する事も大切ですが、逆に何十年と親と会ってない場合で、もし親が他界して自分が法定相続人であっても、親が遺言書を作成して他の相続人に全て相続させるよう記載していれば、全く自分に相続財産は渡らない事になります。

もちろん遺留分請求の権利はありますが、相続開始から10年経っていればもやは遺留分減殺請求権は行使できないので注意が必要です。

遺留分減殺請求の順番は?

遺留分減殺請求により、減殺(持ち戻し)される処分行為の順番は「①遺贈→②死因贈与→③(相続開始時1年以内の)生前贈与」になります。

遺贈が複数されている時は、遺贈した価格の割合に応じて減殺する事になります。但し、遺贈者自身が遺言書に別段の意思表示をしていた場合は、それに従う事になります。

例)遺留分減殺額120万円 遺贈の受贈者 A300万円 B200万円 C100万円の場合、A:B:C=3:2:1になるので、A60万円、B40万円、C20万円を遺留分減殺者に渡す必要があります。(遺言書に「遺留分減殺請求があった場合は、Aの遺贈分から減殺すべきものとする」と別段の意思表示をすれば、そちらが優先的に減殺されます)

死因贈与や生前贈与の処分が複数回ある時は、遺贈のような割合ではなく、新しい贈与から順番に減殺されていく事になります。但し、同一日に贈与があった場合は案分となります。(贈与財産に不動産がある場合、その前後関係は登記の時ではなく、贈与の時になります)

 同性カップルと遺留分減殺請求

同性カップルの場合は、一般的に戸籍上の配偶者と子供がいませんので、現実的に遺留分権利者は父母となります。父母が既に他界、あるいは自分が父母より先に死ぬことを想定しなければ、兄弟姉妹に遺留分はありませんので、遺言書さえ作成しておけば、自分の意思通りにパートナーへ財産を残すことができる可能性が高いといえるでしょう。