精子提供者である「父親」に養育費賠償命令(米国)

米カンザス州で同性愛の女性カップルに精子を提供した男性が、生まれた子どもの養育費負担を命じられ、州当局と法廷で争っている。

カンザス州トピカに住むウィリアム・マロッタさんは2009年、インターネット上の情報サイト「クレイグリスト」で、精子提供者を募るレズビアンカップルの広告を見かけ、自身の精子3カップ分を無料で提供した。「私は遺伝物質を提供しただけ。それで終わり」(マロッタさん)のはずだった。

女性の1人は妊娠し、女の子を出産。ところがその後、このカップルが関係を解消し、一方の女性が体調を崩して働けなくなったことから州に生活支援を申請した。これを受けて州当局はマロッタさんに、今は3歳になった子どもの養育費として6000ドル(約52万円)の支払いなどを命じたという。

マロッタさんは、精子の提供に当たり、生まれた子どもに対する金銭的責任は負わないとする契約書を交わしたと説明した。しかし州当局からは、医師が介在していないことを理由に、契約は無効だと告げられたという。もし医師が人工授精をしていれば、マロッタさんが単なる精子提供者であって、子どもの母親と交際していなかったことを文書で証明できる。しかしそうでない場合、カンザス州の州法ではマロッタさんが父親とみなされる。
CNNco.jpより引用

アメリカ合衆国カンザス州におけるレズビアンカップルへの精子提供の事例です。

この記事を読む限りでは、カンザス州においては「医師の人工授精」という事を文書で証明できれば、「精子提供者」のそれ以上でもそれ以下でもない存在で済むのですが、それがなければ「父親」としての義務を負う事になるようですね。

カンザス州は同性婚を認めていないので、州当局の判断はそういった背景もある可能性もあるようです。

日本もそうですが、LGBTの先進国でもなかなか画一的な法整備をするのは現状難しいようですね。

(平成26年10月8日)

同性カップルの相続問題

a1380_001430日本の法律では法定相続人として、戸籍上の配偶者・直系卑属(子・孫・ひ孫等)・直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母等)および兄弟姉妹等と定められています。

配偶者は最優先で、その他の相続順位は、第一順位が子供や孫などの直系卑属、子供や孫がいなければ第二順位である父母等の直系尊属属、それもなければ第三順位の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に他界していれば甥や姪)が法定相続人となります。

遺産分割の内容は別として、法定相続権は上記のように「戸籍上」の親族関係によって決まってしまいますので、ゲイ・レズビアンなどの同性カップルの場合、遺言書等を作成しなければパートナーに遺産を残すことができません。

「もう親とは数十年会っていない」「親族とは絶縁した」といっても、相続関係には影響がなく、法定相続人に相続権が存在します。自分の死後も安心して暮らせるよう、パートナーに財産を残す為には遺言書等を作成してあらかじめ準備する必要があるのです。

(※親兄弟等法定相続人が存在しない場合、原則相続財産は国(国庫)に帰属します。ただし、裁判所に申し立てをして「特別縁故者」(①本人と生計を同じくしていた者②本人の療養看護に務めていた者③その他本人と特別な縁故があった者)と認められた場合、同性パートナーも財産を相続できる可能性はあります。またその制度の本旨ではありませんが、パートナーと「養子縁組」する方法もあります)

パートナーへの遺言書作成

パートナーの養子(養親)になる選択

パートナーへの生前贈与

パートナーとの死因贈与契約

相続と生命保険の活用

パートナーへの遺言書作成

パートナーへの遺言書作成について検討してみましょう。

1.法定相続人がいる場合

戸籍上の配偶者・子等(直系卑属)がいないとすれば、父母等(直系尊属)あるいは兄弟姉妹が法定相続人になります。(順位は父母等が優先)

ここでポイントが1つあります。

・父母等(直系尊属)は遺留分がある。

・兄弟姉妹は遺留分がない。

遺留分(いりゅうぶん)とは、「残された家族に対する最低限の保障」とも呼ばれ、相続人が父母等(直系尊属)のみだった場合、たとえ本人が全財産をパートナーに相続(遺贈)させると遺言しても、父母等(直系尊属)は相続財産の3分の1は請求する事ができます。(遺留分を請求する事を遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)と言いますが、あくまでこれは「権利」であり請求しなければ、相続等を知ったときから1年、相続開始から10年で時効消滅します)

寿命から言えば、父母等(直系尊属)の方が先に他界する可能性は高いのですが、全財産をパートナーに相続(遺贈)させる場合は、注意する必要があります。

兄弟姉妹の場合は、遺留分がありませんので、遺言書にてパートナーに全財産相続(遺贈)する旨を記載すれば、遺言内容を実現できます。

2.法定相続人がいない場合

法定相続人がいない場合、原則相続財産は国(国庫)に帰属します。しかし、遺言書を作成する事によってパートナーに全財産を相続(遺贈)する事ができます。

遺言書が無い場合でも、家庭裁判所に申し立てをして「特別縁故者」としてパートナーが相続財産を取得する可能性もありますが、手続きが煩雑な上、1年以上も時間がかかり、相続財産を全て又は一部でも取得する事が保障されている訳ではありませんので、パートナーへの最後の愛情としてでも遺言書を作成しておく事をおすすめします。

 

 

 

相続と生命保険の活用

a0002_003051相続対策に生命保険を活用するというものがあります。

生命保険金は、受取人固有の財産となり相続財産に含まれない(相続税法上は除く)ので、特定の相続人に多くの財産を残したい場合によく使われる方法です。

そうなるとパートナーに財産を残す手段として、自分が保険料を払い、受取人をパートナーにする事が考えられます。

しかしながら残念な事に日本の生命保険のほとんどは、受取人を「2親等以内の親族」(2親等→配偶者・父母・祖父母・子孫まで)としていますので、この方法は、同性カップルには使えません。

唯一「生命保険型信託」として同性カップルでも利用できる可能性がる保険商品がありますので、一度検討してみる価値はあるかもしれません。

 

 

遺言書 よくある間違い・勘違い

遺言書作成において、よく見聞きする間違い・勘違いをまとめましたので、ご参考にご覧ください。

1.遺言書を書いても、自分の財産は「自由」に処分できます。

遺言書を作成すると、その内容たる財産を処分(定期預金の解約・不動産の売却等)する事ができないような錯覚に陥る方がいますが、これは全くもって「自由」です。

「Aに甲不動産を相続させる」と記載していても、Aの承諾を得る必要はありません。遺言者の気が変わって生前に甲不動産を売却すれば、遺言書の「Aに甲不動産を相続させる」という部分が取り消されたとみなされるだけです。

2.遺言書はいつでも「自由」に見直せます。

遺言書を作成したものの、後日気が変わって遺言内容を修正したい時は、自由に新しく遺言書を作成する事ができます。遺言書が複数ある場合、内容の抵触した部分については日付が新しい遺言書が優先され、日付が古い遺言書は取り消されたとみなされます。

「自筆証書遺言」も「公正証書遺言」も適正に作成されたものであれば、それ自体に法的効果の優劣はありません。日付が新しいものが優先されます。(但し、日付の違う遺言書が複数あると、その後の相続手続きについて大変困難な事態になる事が予想されますので、取り消す遺言書は破棄するのが良いでしょう)

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希望の葬儀・埋葬等について

MKJ_shiroikikunotekusucya-500希望の葬儀方法・埋葬方法に関しては、遺言書に普通に記しても遺言書の法定事項に該当しませんので強制力はありません。

 本人の「お願い」(付言事項)として遺言書に書く事はできますが、葬儀方法等について意思を実現したい場合は、パートナー等と死後事務委任契約を結ぶか、遺言書に負担付遺贈(希望の葬儀等を行う事を条件として、〇〇円を遺贈する)として記載する必要があります。

最近は、生前見積り等生きているうちに葬儀の内容や価格を選択できるメニューが多数用意されているので、あらかじめ「どこでやるか」「いくらでやるか」「誰を呼ぶか」等を決めておくと残されたパートナーの負担が大幅に削減されると思われます。

また、葬儀後の埋葬方法、お墓なども、実家の墓に入るのか、パートナーお互いの為にも、お墓や納骨堂を購入しておくのか、永代供養の共同墓に入るのか、事前に決めておく安心です。

葬儀・埋葬が終わった後でも法要があります。こちらも「どこでやるか」「どうやってやるか」「誰を呼ぶか」等の問題がありますので、よく話し合っておくのがよいでしょう。