尊厳死の宣言書のひな型

日本公証人連合会がホームページに掲載している、「尊厳死宣言公正証書」です。

尊厳死宣言公正証書

 本公証人は、尊厳死宣言者○○○○の嘱託により、平成○○年○月○日、その陳述内容が嘱託人の真意であることを確認の上、宣言に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。

 第1条 私○○○○は、私が将来病気に罹り、それが不治であり、かつ、死期が迫っている場合に備えて、私の家族及び私の医療に携わっている方々に以下の要望を宣言します。

1 私の疾病が現在の医学では不治の状態に陥り既に死期が迫っていると担当医を含む2名以上の医師により診断された場合には、死期を延ばすためだけの延命措置は一切行わないでください。    

2 しかし、私の苦痛を和らげる処置は最大限実施してください。そのために、麻薬などの副作用により死亡時期が早まったとしてもかまいません。

  第2条 この証書の作成に当たっては、あらかじめ私の家族である次の者の了解を得ております。

     妻   ○ ○ ○ ○   昭和  年 月 日生     

          長男  ○ ○ ○ ○   平成  年 月 日生

      長女  ○ ○ ○ ○   平成  年 月 日生

  私に前条記載の症状が発生したときは、医師も家族も私の意思に従い、私が人間として尊厳を保った安らかな死を迎えることができるよう御配慮ください。   

第3条 私のこの宣言による要望を忠実に果して下さる方々に深く感謝申し上げます。そして、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は、私自身にあります。警察、検察の関係者におかれましては、私の家族や医師が私の意思に沿った行動を執ったことにより、これら方々に対する犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう特にお願いします。   

第4条 この宣言は、私の精神が健全な状態にあるときにしたものであります。したがって、私の精神が健全な状態にあるときに私自身が撤回しない限り、その効力を持続するものであることを明らかにしておきます。

 

第1条を要約すると「現在の医学では不治の状況ならば、余計な延命措置は不要である」「しかしながら苦痛を和らげる措置は最大限にしてほしい」「苦痛を和らげる措置の為に死期が早まっても構わない」という事になり、いわゆる「間接的安楽死」を望む意思表示と読み取れます。

第2条のポイントは「家族の了承」になります。医療現場では実務上この「家族の了承」が重要視されます。同性カップルの場合、養子縁組をしていない限り、法律上家族ではない為、問題となります。便宜上、戸籍上の親や兄弟姉妹に了承をもらう形にするか、あらかじめ「結婚(パートナー)契約書」を公正証書などの書面で作成し、医師に説明・理解を求める形になるでしょう。

第3条は、尊厳死は法律上制度化されていない為、万が一医師の行為が刑事訴追を受けるようなことがあっても、尊厳死に関する措置は本人が希望した事なので、処罰を求めない旨をあらかじめ表示しています。

第4条は、尊厳死に関しての意思は、尊厳死措置当時に必要なものですが、あらたに撤回の意思表示がない限り、この「尊厳死宣言公正証書」の意思内容が有効であると表示しています。

「尊厳死の宣言書」に関して、決まりきった書式はありませんが、上記のようなひな形をベースに作成するとよいでしょう。

 

相続権の剥奪(「廃除」制度)

相続権を剥奪する「廃除」とは?

「あいつには相続財産を渡したくない!!」

法律には戸籍上の身分関係によって法定相続分を定めていますが、自分に対して①虐待②侮辱③著しい非行等があった場合、その行為を行った相続人対して「廃除」すなわち「相続権の剥奪」を裁判所に求める事ができます。

遺言書を作成する事によって、同性婚のパートナーに全て財産を残したいと希望しても「遺留分(いりゅうぶん)」という法定相続人を保護する制度があり、その法定相続人から遺留分の請求(「遺留分減殺請求」)されると、一定の相続財産を引き渡す必要が出てきます。

そこで遺言書の作成時に「〇〇を●●(の理由)で廃除する」という条項を記載し、遺言執行者を指定すれば、本人の死後遺言執行者が家庭裁判所に「推定相続人廃除申立」をする事ができます。裁判所にて廃除が認められると、その相続人の相続権は失われます。

ただ遺言書に①虐待②侮辱③著しい非行等の実態を公正証書そのまま記してしまうと、その内容が銀行口座の解約等の相続手続きのの段階で他人に見られてしまう事になります。

こういった場合は、公証役場にて別途「私署証書」を作成・認証して廃除の内容はこの「私署証書」に記録して残しておく方がプライバシーの観点からよいかもしれません。

※「私署証書」とは→私人が作成したその署名のある文書(私署証書といいます)が正当な手続で記載され、成立したものであることを、公証人が証明するものです。文書の署名又は記名押印が真正に作成されたことを証明することによって、その署名等の作成が真正であることを証明し、ひいては文書全体の真正な成立が推定されることになります。(昭和通り公証役場のHPより)